―福岡有明海の魅力― 資源管理への取組

漁業の継続的かつ健全な発展と資源管理への取り組みのため、各種団体が技術交流や講習会、研修会などの活動を行っています。

福岡県有明海区研究連合会

研究連

戦後、昭和24年頃菊池川河口にて天然採苗して福岡有明へ移植したのがのり養殖の先駆者でした。当時はまだ幼稚で試験的段階でありましたが、その後漁船漁業の不振に伴いのり養殖が脚光を浴び、それと同時に経営体数も年次をおって多くなり漁業者ののり養殖に対しての考え方も熱を帯び、 昭和30年頃より各漁協に技術研究グループ的な組織作りが芽生えてきました。しかし、生産者としての漁家経営は苦しく、技術の改善が強く要求され、各漁協研究活動だけでは対応できなくなり、横との連携と組織の強化の必要性に迫られてきたため、福岡県有明海地区の各漁協研究会の上部団体として、 昭和37年に「福岡県有明海区研究連合会」が組織されました。現在の漁協傘下研究会は15漁協におよび、構成員は198名になります。主な活動内容は、漁期中(10月~翌年3月)の養殖管理技術開発などの調査、試験に加えてカキ殻糸状体の検鏡指導、培養場の巡回指導や芽付検鏡指導など一般漁業者への指導、後継者対策、 技術交流や講習会、研修会の開催など普及活動も行っています。

福岡県有明海潜水器協議会

潜水器

タイラギは貝柱が大きく、缶詰や刺身として重宝されています。屋台の酒のツマミとしての需要が多く、貝柱を除いたビラも案外美味です。ビラは全体として鳥の形に見えるので、昔の人は「生まれ変わると鳥になる貝」と言っていました。タイラギは、タイラゲェ、平ら貝の意味で馬申、馬頬、鳥帽子貝などの名があり、生きているときは殻の間から糸の束を出して、砂泥の中に立っていて、立ち貝の名もあります。貝柱は味が良く、寿司や刺身の材料、みりん粕につけて筑紫漬けとして、有明海の名物です。殻の間から出す黄褐色の糸の束は、はなはだ強靭で絹の光沢があるので、イタリアのシシリーではこれをほぐして軟らかい糸にして、手袋、 スカーフ、ショール等を織っており、これをタレンチネと言います。タイラギは雄雌異体で、繁殖は7~8月、1年間で10cm以上、6年で30cmぐらいになり、老いたものは36cmになります。

タイラギの斃死対策(移植試験)

有明海では二枚貝資源の減少が著しく、特にタイラギについては沖合で夏場に斃死することにより資源が激減し、沖のタイラギを主な漁獲対象としている潜水器漁業に 深刻な影響を与えています。このため、潜水器協議会では、資源回復の一端として、地元の水産海洋技術センター有明海研究所と一緒にタイラギの移植等の試みを行っています。

有明海ガザミ育成会

有明海ガザミ育成会

私たちが所属する「有明海ガザミ育成会」は、福岡県有明海域において操業するカニかご漁業の健全な発展を期するため、操業に関する取り組みを行い、 漁業経営の安定化と漁業の秩序を図ることを目的として、昭和58年3月に発足しました。

申し合わせ(自主規制)

1.甲幅12cm以下の再放流
2.黒デコ(抱卵ガザミのうち卵が黒色のもの)の再放流
3.「とるな」マーク付きガザミの再放流
4.土曜休漁

料理方法

ガザミ料理は一般に「ゆでがに」を思い浮かべる方が多いのですが、婦人部と協力してガザミの調理方法を検討し、調理レシピを作成しPRしています。 雌は卵がおいしく、雄は肉がおいしいといわれています。用途が広がる美味なガザミをご自宅でも一度お試しになって下さい。
カニ飯(写真手前)、やわらの天ぷら(写真左)、焼きガニ(写真奥)、カニサラダ(写真右)
※やわらとは脱皮直後のカニの通称です。
ガザミは活きている「活マガネ」が味・質ともに一番です!

中間育成

有明海のガザミ育成会は、「申し合わせ事項(自主規制)に加え、ガザミの種苗を購入し、大きくして漁場に放流する「栽培漁業」にも積極的に取り組んでいます。 中間育成は写真のように何かと大変ですが、その放流量は約60万尾になります。 私たちは資源管理を「獲る方」と「育てる方」の両面から継続的に実施しています。

ガザミ

一般的にワタリガニの名前で知られています。写真のとおり、 一番後ろの脚が櫂のような働きをして、海中を自由に泳ぎ回ることができるからです。私たちの住む福岡県では、有明海産ガザミを「マガネ」と呼んで親しんで います。漁具・漁法などは下記のとおりです。
漁具:固定式刺網(海底に網を設置して獲る)、かご漁業(海底にかごを設置して獲る)
漁期:周年
大きさ:甲幅(甲羅の幅)が20cm前後