有明海には、他の海域にはいない珍しい種が数多く生息しています。
ムツゴロウやワラスポなど国内で他の海域には生息しない有明海特産種が23種、ごく限られた海域だけに生息する有明海準特産種が40種以上もいるとされています。
これほど多くの特産種や準特産種が見られるのは、有明海だけです。
全て
-
有明海特産魚
エツ
エツ
主な漁法 |
エツ流し刺網 |
漁期 |
5~7月 |
旬 |
初夏 |
大きさ |
体長 30cm |
エツはカタクチイワシ科の魚で、日本では有明海とその流入する河川にのみ生息する魚です。初夏には産卵のため筑後川などの下流に遡上し漁獲されます。主に刺網で漁獲されていますが、非常に弱い魚で死にやすいため、とれたてを屋形船で食べさせてくれます。料理は品数も多く美味で初夏の風物になっています。
-
有明海特産魚
ムツゴロウ
ムツゴロウ
主な漁法 |
むつ掛け、たかっぽ |
大きさ |
体長20cm |
ムツゴロウは日本では有明海と八代海の一部のみ生息する珍しい魚です。潮が引くと巣穴から出てきて、大きな胸鰭で歩くように はい回り、干潟の表面にある珪藻などをなめるようにして食べます。その行動や顔の表情はとてもユニークで見る人を飽きさせません。 脂の多い魚で、蒲焼きや干物で珍味を楽しめます。
-
有明海特産魚
ムラサキシタビラメ
ムラサキシタビラメ
主な漁法 |
固定式刺網 |
漁期 |
周年 |
旬 |
冬~春 |
方言 |
クッゾコ、イシワリ |
大きさ |
体調25cm |
有明海にはムラサキシタビラメ、アカシタビラメ、イヌノシタ、シマウシノシタの4種のウシノシタ類が生息し、一般にクッゾコと呼ばれています。湾奥部の干潟 は幼魚の育成場となっています。なかでもムラサキシタビラメは大型で肉が厚く、最も美味で好まれます。刺身、煮つけ、ムニエル、から揚げなどに料理されます。
-
有明海特産魚
アカシタビラメ
アカシタビラメ
主な漁法 |
固定式刺網 |
漁期 |
周年 |
旬 |
夏 |
方言 |
クッゾコ、デンベェ |
大きさ |
体長25cm |
アカシタビラメはムラサキシタビラメに比べ頭の部分が尖っており、鱗も大きく腹側は赤くなっています。産卵期も遅く、夏頃おいしくなります。クッゾコは 有明海の魚類のなかでも大変人気があり、魚料理の代表格になっています。刺身、煮つけ、ムニエル、から揚げなどの料理にされます。
-
有明海特産魚
ハゼクチ
ハゼクチ
主な漁法 |
釣り、延縄(はえなわ) |
漁期 |
9月~4月 |
旬 |
冬 |
方言 |
ハゼクチ、ハシクイ |
大きさ |
体長25cm |
ハゼクチは日本では有明海のみに生息しています。ハゼの仲間としては大型で、大きいものでは約40cmに成長します。3~4月頃、有明海の干潟に穴を掘って産卵し、 雄は卵が孵化するまで餌もとらずに守ります。産卵を終えると痩せ細って「流れハゼクチ」と呼ばれます。煮物、刺身で好んで食べられ、肉離れもよく美味です。
-
有明海特産魚
ワラスボ
ワラスボ
主な漁法 |
ワラスボ掻き、繁網 |
漁期 |
周年 |
旬 |
夏~秋 |
大きさ |
体長30cm |
ワラスボは日本では有明海のみに生息する珍しい魚です。河口部の泥の中に巣穴を掘って生活しているため、目は退化して小さな点状になっています。 ワラスボ掻きで引っかけてとります。歯がとても鋭く、アゲマキを好んで食べ、その凶暴さと顔つきはまるで映画「エイリアン」の怪物のようです。みそ汁や 干物にされ美味です。
-
有明海特産魚
アゲマキ
アゲマキ
主な漁法 |
アゲマキ釣り |
漁期 |
周年 |
旬 |
夏 |
大きさ |
殻長9cm |
アゲマキは泥の深い干潟に垂直に穴を掘って生息しています。殻は前後に長い長楕円形で、殻の両端は閉まらず開いています。呼吸や餌を吸い込むための 大きな2本の水管(入水管、出水管)と移動のための大きな足が特徴です。身入りが良く肉は軟らかくとても美味です。バター焼き、塩焼き、吸い物などにして 食べます。
-
有明海特産魚
ウミタケ
ウミタケ
主な漁法 |
ウミタケねじり |
漁期 |
4月~11月 |
旬 |
春 |
方言 |
ウンタケ |
大きさ |
殻長8cm、水管長40cm |
水深5m前後の軟泥域に深い穴を掘って生息する殻の軟らかい二枚貝です。このため黒褐色をした水管が大きく長くのびています。ウミタケねじりという十字型の長い棒を回転させて、この水管にからませてとります。からませたまま落とさずに上げるには熟練を要します。刺身、干物、粕漬けの他に酢味噌などで食べます。
-
有明海特産魚
クマサルボウ
クマサルボウ
主な漁法 |
じょれん |
漁期 |
周年 |
旬 |
周年 |
方言 |
サブロウゲ |
大きさ |
殻長10cm |
日本では有明海以外ではめったに見られない珍しい貝です。水深が5m~20mの砂泥域に生息し、アカガイに似て、こぶしの大きさほどもある大きな二枚貝です 貝殻は黒い毛皮状の殻皮で覆われ、さながら熊のこぶしのようです。貝殻はイイダコ用のタコ壺にも使われています。身はとても大きく、刺身、煮つけなどにします。
-
有明海特産魚
ビゼンクラゲ
ビゼンクラゲ
主な漁法 |
すくい網、クラゲ刺網 |
漁期 |
8月~10月 |
旬 |
夏 |
大きさ |
傘長60cm |
有明海では大型のクラゲを塩とミョウバンにつけて脱水し、酢醤油などで食用にします。ビゼンクラゲはヒゼンクラゲに比べるとやや小ぶりですが、それでも 傘長50~70cmもある大型のクラゲです。クラゲ網といわれる刺網や大きなタモ網ですくって漁獲しています。身がこりこりして歯ざわりが良いものです。
-
有明海特産魚
ヒゼンクラゲ
ヒゼンクラゲ
主な漁法 |
すくい網 |
漁期 |
8月~10月 |
旬 |
夏 |
方言 |
シロクラゲ |
大きさ |
傘長1m |
ビゼンクラゲに比べ倍くらいの大きさで20kg程度の重さになります。クラゲをすくうには船頭さんとの呼吸が大切で、船を近づけてクラゲが沈んだり流されてしまわないうちに、タモ網で すくわなければなりません。刺されると痛く船に引き上げるのも大変です。有明海の夏の味覚として酢醤油、ポン酢などで食べます。
-
有明海特産魚
イシワケイソギンチャク
イシワケイソギンチャク
主な漁法 |
ワケ掘り |
漁期 |
周年 |
方言 |
ワケ、ワケノシンノス |
大きさ |
直径4cm |
干潟の砂地にもぐっているので、ワケ掘りという柄のついた鉾状のもので起こしてとられています。方言の由来は、「若者の尻のす(穴)」に似ているからとも 言われます。見かけによらず美味しく、煮つけ、味噌汁の具、味噌煮などで食べます。しこしこと歯ごたえがよく、その珍味が喜ばれます。
-
有明海特産魚
ミドリシャミセンガイ
ミドリシャミセンガイ
主な漁法 |
メカジャおこし |
漁期 |
周年 |
旬 |
夏 |
方言 |
メカジャ |
大きさ |
体長10cm |
貝と言っても貝の仲間ではなく、2枚の薄い緑色の殻に包まれ、1本の長い足が延びており、腕足類という仲間です。新生代から形も変えずに生き続けている世界最古の生きた化石 です。世界でも有明海ほど多く生息しているところは少ないといわれています。味噌汁、煮物などにして食べ、太古を思わせる独特の風味があります。
-
有明海の代表魚(魚類)
ウナギ
ウナギ
主な漁法 |
ウナギ掻き |
漁期 |
周年 |
旬 |
周年 |
大きさ |
体長60cm |
有明海ではウナギ掻きと呼ばれる竹の柄が付いたツメのようなもので、干潟の泥の中にもぐっているウナギを引っかけて天然のものをとっています。 なかでも青ウナギは有名です。ウナギには頭の良くなるDHAや、成人病や老化防止に役立つEPAなどの成分が多く含まれています。柳川では焼いてから蒸す「セイロ蒸し」が名物です。
-
有明海の代表魚(魚類)
スズキ
スズキ
主な漁法 |
流し刺網 |
漁期 |
周年 |
旬 |
夏 |
方言 |
ハクラ、セイゴ |
大きさ |
体長90cm |
有明海では春先の筑後川河口域から下流域にスズキの稚魚のハクラゴが多く現れます。その食性は非常に貪欲で、小魚やエビなどを好んで食べます。大型魚では1m近くになり、引きが 強く釣り人には人気のある魚です。また、夏のスズキは脂肪分も少なく、暑い季節には最高で、あらい、塩焼きなどにして食べます。
-
有明海の代表魚(魚類)
ボラ
ボラ
主な漁法 |
刺網 |
漁期 |
周年 |
旬 |
冬 |
大きさ |
体長60cm |
成長するにつれて、オボコ、スバシリ、イナ、ボラ、トド、と名前が変わる縁起の良い出世魚です。「いなせ」「トドのつまり」はこれからきた 言葉です。有明海にはボラ類のボラ(クロメ)と目やくちびるの赤いメナダ(アカメ)がいます。音や振動に敏感で、よく水上にジャンプしています。あらいなどにして食べます。
-
有明海の代表魚(魚類)
コノシロ
コノシロ
主な漁法 |
刺網 |
漁期 |
周年 |
旬 |
周年 |
方言 |
コハダ |
大きさ |
体長20cm |
有明海では秋口から春先にかけて多く、なかでも冬に多く漁獲されます。海面の色が変わるほどの大きな群れで行動しています。このため船を群れに近づけて投げ網などに よって多くとられています。とれたてのコノシロは、刺身、寿司だねにされています。また小骨が多いため小さく切って酢の物などでも好まれています。
-
有明海の代表魚(魚類)
アカエイ
アカエイ
主な漁法 |
から釣り縄 |
漁期 |
4月~8月 |
旬 |
夏 |
方言 |
エイガンチョ |
大きさ |
全長1m |
体の裏側の鰭の縁の部分が部分が黄色く、背中はやや赤みを帯びているためにこう呼ばれています。卵胎生といって卵は体内でふ化して、夏頃10匹ほどの稚魚を産みます。 尾に猛毒のトゲが1、2本あり危険です。有明海ではから釣り縄と呼ばれる延縄(はえなわ)でとります。肉が厚くエイの中では最も美味と言われています。煮つけなどにします。