INTERVIEW02

立派なガザミが獲れた時の
うれしさはたまりませんね。

立派なガザミが獲れた時の
うれしさはたまりませんね。

堤 幸夫ガザミ漁

YUKIO TSUTSUMI

ガザミ育成会 会長。家業を継ぎ、3代目としてガザミ漁に従事。稚ガニを中間育成して放流したり、体長12センチメートル以下のガザミは捕獲しないなど、資源保護にも力を注ぐ。

おもしろさに触れ、いつの間にか天職に。

ーー漁師になろうと思ったきっかけは何ですか?

若い頃、一度は別の仕事に就きましたが、漁業の方が稼げるんじゃないかと思うようになり、親父の後を継いで漁師になりました。私が主に獲っているのはワタリガニとも呼ばれる「ガザミ」。春は約250個のカゴを海に仕掛けてメスのガザミを獲ります。春に獲れるメスのガザミは身も卵もいっぱい詰まっていて、一番値打ちのあるカニなんですよ。3~4月はカニカゴ漁が忙しくて、この時期になるとワクワクしますね。春が過ぎると、6月~11月中旬はオスのガザミを獲る刺網漁に移ります。時代の流れとともに捕獲量が減ってきたと言われますが、秋のガザミ漁はここ20年は安定してますね。生活の不安もないから、後を継いでよかったなと思ってますよ。

潮の流れを読み、ポイントに仕掛ける。 翌日、引き揚げる瞬間のたまらない高揚感こそ、漁師の醍醐味。

ーーガザミ漁のおもしろさや魅力について教えてください。

前日に仕掛けたカゴや網に、予想以上のガザミが掛かってた時は「やったー!」っていう気分になりますね。有明海は干満の差が大きいから、時期とか潮の流れを上手に読んで仕掛けないといけない。「こういう潮の時はこのポイントだな」と思って仕掛けて、1つのカゴにたくさんガザミが入ってたりするとすごくうれしい反面、ゼロの時もある(笑)。時には失敗もありますけど、これぞ漁師の醍醐味ですよね。いっぱい獲れたガザミを市場に持って行って、びっくりするような値がついた時は、「おおっ!」と思わず声を上げてしまいますよ。

福岡有明で獲れたガザミのおいしさをわかってほしい。 ブランド化した、鮮度抜群のガザミを食卓へ。

ーー漁獲量が安定しているガザミ漁。 堤さんが実現したいと考えていることを聞かせてください。

有明海は佐賀の業者と福岡の業者が入り合う漁場。福岡の「ガザミ」と佐賀の「竹崎ガニ」は同じ有明海で獲れたワタリガニなのに、消費者のイメージが全然違うのが悔しくてね。だから、私の夢は身も卵もいっぱい詰まった大きなメスのガザミをブランド化すること。それも塩水に入れて生きたままの状態で消費者に届けたいんですよ。カニは死んだ時点で味が落ちてしまうから、今も魚市場まで泳がせたまま届けているほど、とにかく鮮度が大事なんです。有明海で獲れた自慢のガザミを、ギリギリまで生かした状態で食べたらどんなにおいしいか。「また食べたいね」って思ってもらえるような、新鮮でおいしい福岡ブランドのガザミを、家庭の食卓に届けたいですね。